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Channel: 鈴木良幸の日本一周釣行脚
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今まで、ありがとう。

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彼は、我が家みんなの人気者だった。

名前は「しろた」。僕は、シッタ君と呼んでいた。


 

 


10/9、午前0時、彼は息を引き取った。

僕が今までの人生で、一番愛した猫であり、友達だった。




 

 

ここ最近、アレだけ連日書いていたブログを更新できないくらいに、仕事の日々。

出張続きで、福島、新潟、富山、金沢、福井、京都、大阪、名古屋、湘南、西東京。
 

全く釣りをしない日々が2週間以上続きました。

 

元々、シッタ君の具合が良くない事は認識して出かけた長期出張。

 



 

家で最後にシッタ君を見た親父の話だと、その日の朝、立つのもやっとこで食卓へやってきた。
 

そこで親父は、病院へ連れていってくれたらしい。

 

 

 

 

 

そして僕が長い出張から帰って来た日、シッタ君は病院で手術中に息を引き取った。



 

 

 

 


 

死因は老衰でなく、病気。

病院へ連れていくのが遅くて、もう手遅れと言う状態だったらしい。
麻酔をして手術をしたが、衰弱が激しく、体力が無くて意識が戻ってこなかったと、医師は言う。

 

 

 

 

長い時間をかけて肺に水が溜まってしまい、最後は呼吸するのもやっとだったとの事。
 

元々強くない猫だったようで、何度も病気を患い、その度に病院で手術を受け、命を繋いできた。

 


息も絶え絶えになって姿を現した彼を、抱いて、夜中に救急病院へ車を走らせた事もあった。

 

 


 

 

 

 


今回のお話は、釣りとは関係の無いお話です。ここから先、釣りのお話は出てきません。

釣りのブログを楽しみにして下さっている方々は、ココから先は読んでも猫と僕のお話しか出てきません。
 


ひさびさのブログですが、釣りの話は出来ません。
 

ただ、大切なペットがだったり、恋人だったり家族だったり、大切な存在が居る方には是非見て頂きたいと思います。

今、僕が感じる精一杯を伝えたくて、ココに書き記したいと思います。


 

 

 

 

 

 

人懐っこくて、愛嬌があって、悪戯もしないお利口さん。そして、とっても優しい猫。

人がデスクワークをしていれば、いつでも膝に飛び乗ってくる。


寝る時はいつも一緒。部屋のドアを少し開けておけば、自然と布団へ潜り込んでくる。

 

 

 

 






 

 


車のハッチを開けて釣りの準備をしていれば、「俺も行く!」と言わんばかりに自然と飛び乗って来る。

それがキッカケで1度釣りへ一緒に行ってから、車の中で待たせたままだが、よく一緒に釣行した。
 

 

 

 

 

 

 

 


車の中で仮眠する時も、海辺に車を停めて、何度も一緒に昼寝をした。

お腹が空いて起きた後、僕はカップラーメン、彼はレトルトのキャットフードをコンビニで買い、駐車場で一緒に食べた事もあった。



 

 

 

 

 

他の猫の世話も一生懸命なシッタ君。

目も空いていない拾い猫の「チャタ」を家で飼う事になった時、いつも温めてあげていて、それはチャタが大きくなってからも同じ。

 

 




 

そして、メス猫の「まる」とは恋人のように、いつもピッタリ寄り添って寝ていた。
 

彼が居なくなってから二晩目だが、ポツリと寂しそうに一人で眠る彼女を、とてもじゃないけど見ていられない。

強く泣き叫び、探し回り、大人しくなったかと思うと、目を開けたまま丸くなっているだけで、寝ていない。何を思っているのだろうか。

 

 

 





同じくチャタも、離れた場所で1人で丸くなっている。

いつもは食事を与えるとすっ飛んでくるチャタも、ここ2日はキャットフードを残すようになった。

シッタ君の産みの親であるクー子は、彼の亡骸を見てから、まだ家に帰ってこない。

 

 



猫も人間と同じように心が有って、同じようにそれぞれ悲しい思いが溢れているんだろう、そう思わずには居られない、彼女彼等の行動。

 

 

 

 




 

人間だけじゃなく、我が家の猫みんなから愛されたシッタ君。

何故か彼の周りには猫が集まる。勿論、それを目掛けて僕も集まっていた。

 

 


 

 



昨晩、僕は彼の亡骸をいつものように抱いて一緒に眠った。
浅い眠りを繰り返し、彼の夢を見ては涙で一杯の目を擦り、飛び起きては彼の亡骸が腕の中にある事を確認して眠った。



・・・最高の友達と過ごす、最後の夜だった。

 

 

 

 

 

 


そして今日の早朝、まだヒグラシが鳴く頃に、お墓を作って埋めた。

どうしようもなく涙が止まらず、どれだけ泣いたかわからない。


 

 

 

 

 

 

以前別の愛猫が不慮の事故で亡くなった時、お墓の前で父が言った事。
「大切な思い出があればあるほど、、、お別れの時が辛くなる。


もう生き物を飼うのは、辞めよう。」

 

 

 

 

 

 

 

楽しい思い出も、素敵な思い出も、作らなければ悲しまない。

引き裂かれるのが決まっているなら、思い出なんか、作らない方が良い。

 

 

 

 

 

逆に自分が死んだら、辛くなるのは、思い出を残された人達に決まっている。

だから、なるべく深い絆は結んじゃいけない。

 

 

 




 

どっちにしろ、別れが辛く、なるだけだから。

 

 

 

 



 


その時は僕も、そう思ったし、同じ事を感じていた。
 

 

 

 

 

 

 



だから人間関係や家族関係でも、なるべく深い思い出を作らないよう避けようとしたし、そうすれば良いと思ったし、現に我が家は散り散りだ。

 

 

 


 

あんな悲しい思いをするなら、思い出なんて、作らない方が良い。
 

 

 

 

 

 



 

でも、彼が僕に与えた物は、「死別」と言う悲しみを遥かに超える、かけがえのない思い出の数々だった。

 

 

 


それはもう、両手で抱えきれないくらいに沢山。

 

 


 

 



 

 

 

 


誰かを愛おしいと思える事。大切だと思える事。自分にとって、無くてはならない存在。

そういう大切な事を押し殺していた僕に、彼はずっと、行動で訴えかけてくれた。

 

 


 

何処のシーンを切り取っても、彼が鳴きながら擦り寄ってくる。

初めは見て見ぬフリをして、なるべく距離を取っていた僕。



でも、彼の優しい心は、僕の心の壁を溶かしていった。

 

 

 




 

シッタ君との思い出がもし無かったら・・・



今となっては、そっちの方が怖くて仕方ない。




素直な気持ちを取り戻せたのは、シッタ君のお陰。



 

 


 

あれ?そもそも、家にはいつから猫がいたのだろう。
そんな疑問を抱き、婆ちゃんに訪ねた今日。

 

 

共働きで幼い頃からロクに僕を構ってあげる事の出来なかった両親が、少しでも寂しくないように、と猫を連れて来てくれたそうだ。

 

 



そんな中の一人が産んでくれたシッタ君は、我が家の中心だった。
彼は、こんなにも楽しい日々を、一度は塞ぎこんでしまった僕らに与えてくれた。

 

 

でも、20代になる前の僕。思春期の頃。
嬉しさ、喜び、悲しみ、そういう感情は家庭外からやってくる事が多くなった。


それから就職して4年間地元で公務員として働き、仕事を辞めて、今に至る。
 


 

 

 

シッタ君が僕に伝えたかった気持ちに気付けたのは結構前で。

それからの時間は、一緒に、密度濃い時間を過ごす事が出来た。



 

 

 




 

 


車で釣りに行って車の中で寝て、雪の日は一緒にソリで遊んで、鳩やネズミを追いかけまわして一緒に獲ったりもした。








毎朝、出かける時のブラッシング。
この嬉しそうな顔を見るだけで、今日も一日頑張ろう!ってキモチにさせてくれる。







夜遅く、仕事から帰ってくれば、この顔だ。

「エサをくれー」って訳だが、こんな顔されたらさ、見て見ぬフリなんて絶対に出来ないよね。


 





 



遠征の準備をしてれば、「俺も行くー!」と言わんばかりに入って来て。長期遠征でいつも考えるのは、我が家の猫の事。



だから、その気持ちが強くなるほど、長期遠征にはいかなくなった。この春だって、1週間。トカラで最長1週間半。

「ホームシック」

そんな言葉が似合うくらい、俺は自宅で待つシッタ君が、恋しくなっていた。


 


 

 

毎日、君との思い出を積み重ねていく事が、いつの間にか僕の生き甲斐にもなっていた。

家に帰って来たい理由も、君と会うって事が一番の理由だったよ。

 

 


 

 



 

 

 

 

雨の日は婆ちゃんと一緒に外を眺めながら裁縫。
とにかく婆ちゃんが大好きで、僕が家を留守にしている時はいつも婆ちゃんの腕枕で寝ていたらしい。

婆ちゃんは今も元気な92歳。優しい婆ちゃんが大好きなのは、俺もお前も、一緒だったな。


 


 

 




 


親父だってきっとそうだ。もう、わかっているハズ。
硬派で遊び人の僕を認めずに毛嫌いしている、とにかく頑固者の親父。


でも、家族の中で誰より猫が大好きな親父。


俺はわかっているつもりだ。きっとこの人は、家族の大切さを知っている。
今日お墓を作り、彼を埋めた時の親父の涙が、きっとそうだと信じている。



家族みんなが仲良くする事。それが、彼が僕に望んだ事だと思っている。


親父とシッタ君のお墓の前で、久々に腹を割って話した。



伝えたい事は、好きな人との限りある時間を、大切にしようという事。




命ある者、必ず別れが有る。

ならば別れの日まで、精一杯楽しい、素敵な思い出を作ろうじゃないか。



 

今は親父も、そう思ってくれているらしく、安心した。

待ち望んでいた、良い時間だったと思う。たった数分、僅かな時間だったけれど。


 

シッタ君にまで世話を焼いて貰って、ホント、どうしようもないな(笑)





もうシッタ君と一緒に眠る事も、釣りにいく事も、ブラッシングする事も叶わない。



 

それでも、彼と過ごした思い出を、絶対に忘れない。


たまには、夢でもいいから会いに来てほしい。
 


 



沢山お墓にも行くし、大物が釣れた時は見せに行くし、持ってこれない魚なら写真を見せに行くし、何にも無くても、ちゃんと行くから・・・!


 

 

だから、俺の事を、家族の事を、ちゃんと覚えていてほしい・・・。

 




 

 


俺の最高の友達、シッタ君。

さよならは言わないよ。言うとすれば・・・
 

 

 

 

 




 

 



 

 

 

 

シッタ君、今までありがとう。

 
 

いつか、あの世で会える日まで。
 

その時は、抱えきれないくらいの沢山のお土産話を持って、君に会いに行くよ。

 

 

 

 

 

 


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